はじめての不動産の売却をご検討されている方たちへ
不動産を高く売却できた過去の事例から考えた勝因<成功ノウハウ>。
それは、買い手が競争する状況を生み出すこと。
当サイトでは、いくつかの成功事例に共通する勝因を、誰もが実行できるノウハウとして整理しました。
このノウハウが、はじめて不動産を売却される方たちにとって、最も高い価格で売却される一助になれば、幸いです。
1.都会での自宅売却
2.地方での駐車場売却
1. アピールポイントの洗い出しとキャッチコピーへの要約
2. 根拠となる写真
1.不動産会社10社以上へのアプローチ
2.希望売却価格の決定
3.複数パートナーの選定
① 一般的な選定条件
② 都会での大手と地元の不動産会社
③ 地方での若手経営者・営業担当と老舗の不動産会社
1.計画的な値下げ対応
2.買い手を広げる施策
(ご参考)不動産売却に必要な費用、不動産仲介の契約形態
まず、不動産を高く売却できた事例を2つ、紹介します。
1つ目の事例は、東京近郊での戸建て住宅です。
2つ目は、地方都市にある駐車場土地の事例です。
いずれも複数の取得希望者が現れ、希望売却価格以上での売却することができました。
売却不動産は、千葉県市川市にある築19年の30坪土地付き4LDKの中古戸建て住宅で、15年前に中古で購入しました。3つの駅がそこそこ近く買い物にも便利で、かつ、幹線道路から少しだけ奥まって静かな住みやすい家でした。
しかしながら、私が勤務する職場や子供が通う大学が東京の西エリアとなり、通勤・通学に2時間以上の時間を要していました。そこで、移動の効率性を考え、職場や学校に近い地域への引っ越し、自宅の売却を決断しました。
売却に際しては、3社の不動産会社と売買仲介契約を結び、1年程度の時間を要しました。最終的には、地元の中堅不動産会社と大手不動産会社から取得希望者を紹介され、希望売却価格よりも高い値段で売却することができました。
2つめの売却不動産は、高知県高知市にある中心市街地から車で10分程度離れた商業地にある160坪の駐車場でした。亡くなった父が約40年前に購入し、約30年前に相続したものです。
より効率の良い投資へ資金を振り向けるため、売却を決断しました。
売却に際しては、5社の不動産会社へ依頼し、売却期間は半年程度でした。
まず、若い営業担当のいる不動産会社から40坪ほどを住宅用として分割購入の取得希望者を紹介され、交渉を進めていました。この交渉途中に、別の老舗不動産会社から土地全体を医療施設の第二駐車場用地としての取得希望者を紹介されました。
全体を見据えた効率性と採算性から、後者の取得希望者へ希望売却価格で売却しました。
ここからは、不動産を高く売却できた過去の事例を基に、3つの勝因<成功ノウハウ>を検討します。
1つ目の勝因は、不動産会社や買い手に対して自信をもって売却不動産をアピールするための準備です。
具体的には、洗い出したアピールポイントをキャッチコピーへ要約したうえで、裏付けとなる写真を準備します。さらに、引け目を感じるマイナス要因は、できるだけ少ないコストでの対処を検討します。
数千万円におよぶ高額物件の売却に関する準備ですから、1カ月程度の時間はかけて検討します。
まず、立地や建物について、便利さ、快適さ、見た目など考え得る視点からメリットを洗い出し、それらをまとめて、できる限り短い文言のキャッチコピーへ要約します。買い手や不動産会社に対して、物件を瞬時にアピールできるようなキャッチコピーとなるよう、それなりの時間をかけて考えます。
例えば、掘りごたつのある和室や2つのベランダとトイレ、駐車場がある、収納スペースが多いメリットを「和と洋を兼ね備えた、ゆとりある居住レイアウト」といった文言に要約しました。
次が、自宅売却における、アピールポイントの洗い出しとキャッチコピーへの要約の参考例です
(クリックで拡大します)。
次に、アピールポイントの根拠となる写真(画像データ)を準備します。
画像データは不動産会社へ提供し、ホームページや広告紙に掲載してもらいます。
前述で明確にしたアピールポイントの検討資料を見ながら、より効果的に一貫性を持ってアピールするための写真を準備します。写真には、より確実にメッセージを伝えるため、ペイントブラシなどの画像編集ソフトを使ってコメントを追加します。また、写真の枚数が多すぎると見るのに手間がかかるので、1枚で複数
の写真が見られるように編集します。
次が、根拠となる写真の参考例です。
掘りごたつのある和室の写真で、和のテイストをアピール
(画像をクリックすると拡大します)
最寄りのコンビニやスーパー、ドラッグストアの写真を
1つの画像データへ整理、買い物に便利な立地をアピール
(画像をクリックすると拡大します)
最寄りの3つの駅とバス停の写真を1つの画像にまとめ、交通の便の良い立地をアピール
(画像をクリックすると拡大します)
2つ目の勝因は、売り手がより優位な体制をつくり、買い手が不動産購入価格を競ってくれる状況を生み出すための施策です。
具体的には、10社以上の不動産会社から相場情報を入手し、それらを参考にしながら主体性をもって売却価格を決定します。
そして、3~5社のパートナーとなる不動産会社を選定します。
「高知市 不動産」といった所在地を含めたキーワードでのインターネット検索結果や、実際に所在地を歩いてみて目につく最寄りの不動産会社などから、10社以上のパートナー候補を選び出します。
そして、選び出した候補先に電話し、売却物件の概要を簡単に説明したうえで、取引実績に基づく相場価格を聞き出します。このとき、不動産会社の電話応対の態度などもメモし、不動産会社名、住所・連絡先、相場上限・下限価格とともに、備考として一覧表へ整理します。
次が、パートナー候補不動産会社一覧の参考例です。相場の上限価格の大きい順に並んでいます。
一般的に不動産売却では、売却価格の高低と売却に要する期間の長短はトレード・オフの関係にあります。
つまり、高い価格で売り出せば買い手はなかなか見つからず、一方、安い価格であれば、比較的短期の売却が可能と考えられます。
今回は「不動産を最も高く売ること」がテーマですので、ある程度の長期にわたる売却期間を想定します。
もし、不動産売却によって調達しなければならない必要金額がある場合、その必要金額に仲介手数料などの費用(ご参考に後述)を加算した金額が希望売却価格となります。
他にも、できるだけ高く売りたいといった漠然とした希望の場合があります。
後者の場合、将来、後悔しないために不動産会社任せにするのではなく、売却者自身が納得できる希望売却価格となるよう、充分な検討を行います。
希望売却価格の決定は、前述のパートナー候補不動産会社一覧にある相場の上限価格を参考にしますが、この上限価格には大きなバラツキがあります。その原因は、積極的な営業姿勢の不動産会社が不動産売却者にとって魅力的な高目の相場価格を伝える一方で、堅実な不動産会社は確実に売れると考える低目の相場価格を伝えることに起因します。
これらを考慮し、駐車場売却の事例では希望売却価格を、一覧表の相場の上限価格最高値より若干、低い価格、かつ、全体としては高めの金額としました。と同時に、3年程度の売却期間を想定しました。
次に、前述のパートナー候補不動産会社一覧にある10社以上から、営業力のある3~5社をパートナーとして一般媒介契約(ご参考に後述)を締結します。
このとき、買い手が競争してくれる状況を生み出すため、各不動産会社が強みのある顧客層にて、できるだけ広い範囲をカバーするように考えます。
① 一般的な選定条件
不動産取得者の多くは、インターネットで物件を探すようになりましたので、ネット検索で上位に出てくる不動産販売会社をパートナーの1社とします。また電話で問い合わせた際、積極的な営業姿勢の会社もパートナーとします。
② 都会での大手と地元の不動産会社
都会での自宅売却事例では、大手不動産会社の営業力を実感しました。大手不動産会社は、テレビCMなどで知名度があり、営業担当者の人数も多く、かつ、マナーもしっかりしています。顧客の多さに期待し、パートナーの1社は大手不動産会社とすることをお勧めします。
一方で、特定地域のみに強みをもつ地元の不動産会社も地場にて昔ながらの営業基盤を築いており、大手不動産会社とは異なる顧客層をカバーしていると考えられます。不動産取得者の顧客層を広げるために、地元不動産会社もパートナーの1社とします。
③ 地方での若手経営者・営業担当と老舗の不動産会社
高知市のような地方都市では、都会で強い影響力のある大手不動産会社が1社も進出していません。
地方では、古くから営業している不動産会社が多く、社長1人、または、社長と営業担当を含めた社員数名程度の不動産会社がほとんどです。
このような地方では、若手経営者および若手営業担当がいる会社をパートナーの1社とすることをお勧めします。若手経営者や営業担当は、地元での営業基盤が老舗不動産会社に比べて弱いことから、相場よりも高い価格での不動産売却にも前向きな姿勢で応じてくれます。
一方で、老舗の不動産会社は、古くからつきあいのある会社や医療法人などの経営者を顧客層に抱えています。老舗不動産会社も、パートナーの1社とすることで、可能な限り広い顧客層をカバーします。
最後の3つ目の勝因は、なかなか買い手が現れないケースを想定した計画策定です。
最も高い価格での不動産売却を目指す場合、トレード・オフの関係にある売却に要する期間は長くなりがちです。したがって、買い手が現れない最悪のケースを想定した計画の存在は、売却活動全体において一貫性のある冷静な行動につながります。
次が、売れない場合を想定した計画の例です。
不動産会社が顧客へ提示する売却価格の値下げは、最も効果が期待できる施策のひとつです。
ただし、値下げをした後の値上げはむずかしく、元の売却価格へ戻すことはほぼ不可能なため、慎重な検討が必要です。また値下げをしたにもかかわらず、なお買い手が現れないと、さらなる値下げを不動産会社から打診されることもあります。
このような打診を繰り返し受入れると、不動産会社が顧客へ提示する売却価格はどんどん下がり、値下げ・値引きできる値幅、言い換えれば、売り手としての交渉カードがなくなってきます。
このような状況を避けるため、いつ、いくら値下げをするのかを事前に計画として盛り込んでおくことをお勧めします。そのうえで、不動産会社の値下げの打診ではなく、自ら策定した計画にそって値下げを行います。
最後に、値下げ対応以外の買い手を広げる施策です。
なかなか効果的な施策を見つけるのはむずかしいため、なるべく早い時期から検討を始め、パートナー不動産会社を通して買い手の声を確認しながら継続的な検討を行います。
駐車場売却の事例では、当初は土地全体の一括売却のみだった売却条件を、しばらく買い手が現れなかったため、自宅購入希望者も対象となる「分割購入も要相談」と緩和しました。そうしたところ、40坪程度を自宅用に取得したいとの希望者が現れました。その後、新たな取得希望者が現れ、結果としては、160坪全体を希望売却価格で売却できました。
以上、ここまで整理した内容はすべて、ある程度の手間はかかるものの、誰でも実施できるものです。
これらの3つの勝因が、はじめて不動産を売却される方たちにとって、最も高い価格で売却される一助になれば、幸いです。
<不動産売却に必要な費用>
不動産売却における過去の事例では、不動産会社へ支払う「仲介手数料」と所有権移転登記を代行する「司法書士代行料」、売買契約書へ貼付する「印紙代」でした。ちなみに、所有権移転登記で発生する登録免許税は、買い手の負担でした。
「仲介手数料」:不動産売却金額の3%に6万円を加算した金額が上限、別途、消費税
「司法書士代行料」:5万円弱程度、別途、消費税
「印紙代」:不動産売却金額によって1~3万円
<不動産仲介の契約形態>
不動産媒介契約には、「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3種類があります。「専属専任媒介」と「専任媒介」は仲介業務を1社にしか依頼できませんが、「一般媒介」は、複数の不動産会社に仲介を依頼することができます。
「一般媒介契約」
複数の不動産会社に同時に仲介を依頼することができる契約で、自分で見つけてきた相手方(親せきや知人と直接交渉した場合等)とも、不動産会社を通すことなく契約することができます。ただし、最終的には、どの不動産会社を通して取引を進めるかを決めることになります。一般的には、有力な物件を紹介した不動産会社と取引を進めることが多いようです。
出所)公益社団法人 全日本不動産協会HPから抜粋(2018年6月現在)